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87 屋上

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うだ。墓の中はこんな感じなのかもしれない。人間は死んだらどうなるのだろう。なんかこの感じエレベーターと似てる感じがするけど、まったく別物な気もする。エレベーターは動いているけど、この箱は動かない。だんだん息苦しい感じがしてきた。窓がないけどこの部屋って換気されているのかな、なんてことをぼんやりと考えていた。口の中に硬い何かを咥えさせられ、動くことも禁じられた僕は、自分がガス室に閉じ込められているような感覚になった。動悸がする。なんとなく息苦しい感じがする。動きたいけど、動いてはいけないといわれた。僕はもしかしたら、閉所恐怖症なのかもしれない。外光の全くないその部屋の壁はいまや一面真緑のように見えた。ここは手術室かもしれない。ふとそんな感じもした。たぶん実際の時間としては、あっという間、たぶん1分とかそれくらいなはずなのだけれど、僕の実感としてはここまで書いたくらいの長い時間だった気がする。宇宙飛行士の訓練室もこんな感じなんだろうか。ロシアの宇宙飛行士のテストで真っ暗な音のない部屋に閉じ込められて、2時間経ったら出てくるように、とかそんなのがあったらしいけど、こんなところに2時間は普通の神経じゃとても無理だという気がする。ガチャと扉がひらく。小部屋に時間が戻ってきた。席に案内される。荷物を足元に置き、椅子に身を預ける。しばらくして、目の前のモニターに人間の顎のあたりの透視図が現れた。顎の肉の中に何本も歯が埋まっている。イギリスの古代の遺跡みたいだと思う。表に出てきているのは歯のうちの半分くらいのようだった。血管も見える。これをみても僕には僕の歯がどういう状態なのか全くわからない。椅子が倒される。白い天井を見上げる。口をあけると奥歯の方でチクッとした。どうやら、これはやるらしい。麻酔をかけられた僕の右側はどんどんしびれたような感覚になった。口をゆすいで、と言われ、そうするけれど、水が横の方からだらっと唾液とともに垂れてしまう。再び天井を眺める。医者がちいさく一言、削るね、とつぶやくとドリルをゴリゴリ当て始める。時折、神経に直接触れられるような痛みが走る。あの痛みが僕はどうも苦手だ。麻酔が効いていないのだろうか、なんか結構いたい。僕は太ももをつねって意識をそちらの痛みに向かわせようとするのだけれど、どうもうまくいかない。歯の痛みにはかなわなかった。削り終わると、なにかしらの液体のようなものをそこに塗り、その穴を埋め始めた。ゴムのような匂いがした。紫色の光を当てられる。時折、耳元でピッ……ピッ……ピッ……ピッ……というような電子音がした。身動きせず、その無機質で真っ白な天井を見上げていると、なんだか自分がなにかしらの精密機械になったような感じがした。たぶん、パソコンとかの中に入っている基板って、こんな気持ちなんだろうと思う。ゴリゴリ削られ、削り屑が口のな

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画材:紙、アクリルガッシュ
サイズ:272×192mm
※額縁は付属しません。

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