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67 早起きの朝

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熱もないし、取り立てて体がだるいというわけでもない。天井を見上げ、しばらく何も考えず、目を閉じてみる。深呼吸をする。猫はあきらめて何処かへ行き、部屋にはまた例の一定間隔の寝息が充ちている。なんだろうか、このいつもと違うという感覚は考えるのだけれど、結局、その原因を見つけ出せないまま、再び男は眠りに落ちていく。6時半。携帯にかけておいたアラームが鳴る。それを聞き、猫も飛び上がってすかさず鳴き始める。長い、長い、長い鳴き声だ。男は起き上がり、階段を下りていく。猫が後から追いかけてきて、そして抜き去って階段を下りて行った。小さなお尻がふるふると揺れている。途中、男が立ち止まっていることに気づいた猫は、お尻をこちらに向けたまま上階の方を見上げ、目をくりくりさせながら、みゃあ、と今度は短く鳴いた。キッチンスケールに猫の皿を乗せ、そこへいつもの餌をはかり入れる。はかっているそばから猫が顔を近づけてきて食べ始めようとするので、男は手で払いながら、ちょっと待って、待てって、とつぶやいた。すると猫はちょっとだけ皿から距離を開け、おとなしく座り直し、パラパラと皿に盛られていく粒たちを眺めている。濃い、かつおだしのような匂いが男の鼻を刺激した。その刺激は同じように猫の鼻にも届いたらしく、急にそわそわし始める。我慢できないというような感じで立ち上がり、あたりをうろうろし始める。ちょっと勢いよく盛りすぎて、多めに皿に乗ってしまった。余計な分を男が袋にもどしていると、たまらず猫は「おい、何をもたもたしてるにゃ」とでもいうような感じで大きめの声で、長めに鳴いた。はかり終え、皿を持ち居間へ移動すると猫も一緒についてくる。いつもと同じだ。毎朝のこと。今朝のは気のせいだったか、あるいは、そう感じたことそれ自体も夢だったのかもしれない。男はそう思い始める。電気ポットに水を入れスイッチを入れる。スイッチがオレンジ色に光り、ゥゥゥゥゥ... と小さな音を立て始める。そう、いつも通りだ。一日のんびりと過ごした。絵をかき、文章をかき、本を読んで過ごした。先日ゆずの木に付いていたのを生け捕りにして飼っていたあおむしは今朝がた見たときにはまだ蛹だったのに、昼すぎ、いや夕方になっていただろうか、ふと気が付くと、羽化して立派な蝶々に変身していた。薄い羽、細やかな模様の入った薄い羽が紙細工のようで美しい。芋虫から蛹、そして蝶という劇的な三段変化。知識として知ってはいたけれど、蝶という虫はなんて鮮やかに、軽やかに、軽薄ともいえるくらいに軽々と、何の後腐れもなく変容するのだろう。ちょっとした感動である。そして外に放つ。ひらひらと雨の中を舞い上がり、そして見えなくなった。昼寝をし、買い物に出かけた。帰ってくると、注文していた草刈り機のヘッド部分が届いていた。明日、付け替えてみることにする。レタスとハムの炒めものと、


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画材:紙、アクリルガッシュ
サイズ:272×192mm
※額縁は付属しません。

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