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85 欲望の亡霊

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あるいは王冠みたいなのをつくるものとしか思っていなかったけど、こんなにパンを膨らませる力があるなんて驚きだ。もうじき予熱も終わる。230度で20分にセットしてみた。もうじき、やっと、シロツメクサのパンを試せる。楽しみだ。どんな味、どんな香りがするんだろうか。今年の夏はなんか寒い気がする。朝晩は夏だというのに寒くて毛布にくるまってしまう。ここ最近の夏が暑すぎたんだろうか、それとも今年は特別に寒いんだろうか。植えたピーマンはほとんど大きくなっていない。それはこの寒さが原因だろうか。ナスもあまり元気がない。去年は見なかった虫が野菜についている。ピーマンは小さいけれど実のようなものが付き始めている。はやく夏野菜を食べたい。いつものようにコロナ対策の消毒の仕事をしていると、携帯が振動し通知がきた。「商品が購入されました」やった、やった、とウキウキしながら仕事を終え、家に帰って確認すると、売れていたのは絵だった。しかも9枚。1枚1000円で売ってるから9枚で9000円だ。時給800円台の仕事をしている僕からすると、それはめっちゃありがたいことで、実に10時間以上分のお金をもらえたことになる。いまのところ生活にお金が足りないというわけではないので、このお金はほとんど全部、また絵を描くための画材を買うのに使われると思う。絵が売れて嬉しいというのは、単にお金が手に入って嬉しいということ以上の意味が僕にはあるように思える。少なくとも木工品が売れるということとは僕にとって意味合いが少し違うように感じる。「機能性」のようなものの有無と関係しているのだろうか。機能のあるものも、もちろん売れれば嬉しいのだけれど、買われたのはあくまで「機能」であるという感覚が僕の中にはある。絵の場合は売れたのはその絵の機能とか、効能のようなものではなくて、そのもの自体の価値だという風に僕自身が思えるから、絵が売れるのがこんなに嬉しいのではないかと思う。買ってくれた人はどんな気持ちで買ってくれるのだろう。単純に絵を気に入ってくれたのか、それとも、僕を応援しようと思ってくれたのか、どちらにせよ、僕が描いた何かに対してお金を払ってくれた、というそのことだけで、僕は絵を描き続けていけるような気がする。僕はこのごろ、自分が描いたもの、作ったものに対して自分自身では評価しないように極力努めているので、描いたものはすべてオンラインショップに公開しているのだけれど、意外なものが売れたりするので面白い。意外なものというのは売れると思わなかった、というような絵のことだ。それは良いとか悪いとかいうことではなしに、「なんか売れなそう」というような絵、うまく言えないけどそんな絵がある。それはその絵を評価してしまっているのだろうか。うまく言えないけれど、たぶんそういう見方を僕は自分の絵に対してし続けるのではないかなという気がして

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画材:紙、アクリルガッシュ
サイズ:148×210mm
※額縁は付属しません。

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