124 車窓の景色
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絵画の所在
絵を描くことは地図なしで見知らぬ街を歩いているようなものだ、そんな風にいつも思う。絵という空間に迷いこんだ僕は自分がその瞬間どこに位置しているのか、どこに向かっているのか、自分がどこから来たのか、そういうことは一切分からない。過去はずっと向こうにあるし、未来は信じられないほど遠くにある。というかそもそもあるかどうか疑わしい。
絵筆を握って画面と向き合う時間、それは永遠の現在のようなもので、その時間は特に心地よいものではないけれど、苦しい時間というわけでもない。それは言語化につながらないような小さな認識の粒が永遠に流れ続けるベルトコンベアをじっと眺めるような時間だ。描いているというよりも、勝手に変化していく煙を眺めているような感じだ。息を止めて潜ったプールの底から眺める光の筋や、棒高跳びのバーを飛び越える瞬間に目の端で捉える風景といったものが、その日の夜に布団の中で瞼の裏側に現れる時間に似ている。
僕はただ真っ暗闇の中で揺れ動くそれらの像を眺めているだけ。絵画というプロセスには幾つもの分岐点があるけれど、そのうちのどの1本を選んだとしてもいつだって最終的にはその作品の落ち着くべき場所につながっている。つまり大切なのはただ単に描くという時間を絵の前で過ごすかどうかということだけであって、どのようにとか、なんのために、とかそういうことにはほとんど意味がないのだということだ。とにかく描き始め、ぼうっと絵の変化を眺めていると、それにつられて絵筆が動く。それが更に画面を変化させまた筆の動きにつながる。そして気づいたら勝手に絵が出来上がっている。
そういうことがここ数か月でやっとわかったような気がする。それが分からずに僕は20 代の10年間はほとんど絵を描くことができなかった。キャンバスに向かい、絵を描こう、さて何を?という時間をもう過ごさなくてよいのだ。とにかく描き始め、変化を見守ってやればいい。これからは息するように作品を作り続けることができると思う。
もちろんそれが良い絵かどうかは分からないのだけれど。
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画材:紙、アクリル絵具
サイズ:210×148mm
※額縁は付属しません。
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